旬は夏!皮の色素成分に注目の野菜なすびEGGPLANT
- 夏素材
- 旬:6~9月
- 科名:ナス科
- 原産地:インド
夏野菜の代表で6~9月に多く出回るが、促成栽培で一年中安定して生産されている。日本では8世紀に初めて記録がみられ、17世紀にはすでに早熟栽培が始まっており、かなりの品種が記されている。
なすびは栽培のしやすさと食のジャンルを問わずに使え、おかずの食材としてかかせない野菜となっています。
皮の色素成分「ナスニン」はポリフェノールの一種
なすびの紫紺色の皮には、紫アントシアニン系色素・アントシアニンが多く含まれています。これはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があり、動脈硬化や老化の予防をはじめ、目や肝臓の働きを活性化する効果もあるとされています。できるだけ皮をむかずに調理して、栄養成分を有効に取り入れたいものです。
「ナスニン」は水溶性
ナスニンは水溶性のため、長く水につけると流出してしまいます。アクは空気にふれて酸化されると出てくるので、調理する直前に切って、すぐに加熱すればアクを気にせずにすみます。
ぬか漬けには、古釘!?
なすびのぬか漬けをつくるとき、着け床に古釘やミョウバンを入れるのは紫紺色の色素成分「ナスニン」が保たれるようにするため。入れないと赤っぽくなってしまいます。
産地によって形もいろいろ!
品種も多く、形もさまざま。それぞれ果肉の質などに違いがあります。
中長なす
中長なすは、市場に多く流通している品種。長卵形で、皮、果肉ともほどよいやわらかさ。調理法を選ばずに使える。「千両茄子」ともいわれる。
長なす
長なすは、果実の長さが20cm以上あり、果肉はやわらかいのが特徴。蒸しなすや焼きなす、塩もみなどにむく。
水なす
水なすは、水分が大変多く、皮、果肉がたいへんやわらかい。甘みがあり、アクも少ないので生食できる。大阪・泉州の名産として知られ、ぬか漬けが有名。
小なす
小なすは、3~8cmぐらいの小さななすで丸形と卵型がある。皮がやわらかく、種子が少ないのが特徴。在来品種では、山形の「民田なす」が有名。果肉が柔らかいので漬物にむく。
丸なす
丸なすは、皮がかためで、果肉が緻密なので、加熱してもくずれにくい。田楽などによく使われる。京都の「加茂なす」がよく知られ、新潟県の「魚沼巾着」は煮物や漬物にも使える。
米なす
米なすは、アメリカ品種を改良した大型のなすび。へたが緑色なのが特徴。果皮はかためで、果肉はしまっている。焼く、いためるなど、加熱調理にむく。
紫だけじゃない!
ナスニンの色素ができず、白や青(緑)のなすびもあります。丸くて白い形のなすびを見ると、卵に似ています。「エッグプラント」というのもうなずけます。ちなみにドイツ語では「アイエル・アプフェル」(卵形のりんご)というそうです。
素材の選び方
へたの切り口がみずみずしく、がくのトゲが鋭いものを選びます。皮は濃い紫紺色で、張り、つやがあるものがよい。変色しているものは注意。
素材の小ネタ1
ナスの名前の由来ですが、ナスは伝来してきた当初は、「夏の実」、「夏味(なつみ)」などと呼ばれていました。これがなまって「ナスび」、やがて「ナス」になったとの説があります。現在も関西より西と北海道では「ナスビ」、関東では「ナス」と呼ばれています。
素材の小ネタ2
「茄子(なすび)の花と親の意見は千に一つも仇(あだ)がない」ということわざがありますが、仇とは無駄という意味で、茄子の花は咲いたら必ず実がなり無駄にならないように、親の意見で役に立たないものは一つとしてない」という意味です。
また、「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざは、味の良い秋茄子を食べさせないという姑の嫁いびりとも、体を冷やすので食べさせない方がよいという思いやりの意味があるとも解釈されています。
素材の小ネタ3
なすびは夏野菜なので、「寒さ」が苦手です。約10℃が保存の適温なので、それ以下の場所に置いておくと、傷みが早く出ます。味も見た目も悪くなり、低温障害となってしまいます。野菜室は冷蔵室より温度は高めですが、なすびは直接冷気が当たらないよう新聞紙で包んだりすることで低温障害から守ることができます。
なすびの花
紫色の花が咲きます。